移動手段はヒッチハイク
「ヒッチハイクで行けるよ。」
ニュージーランドへ来てまもない頃
行きたい場所までどうやって行けばいいか尋ねると、よくこの答えが返ってきた。
バスでも電車でもタクシーでもなく、
まさかのヒッチハイク(笑)
見知らぬ人に交渉して目的地まで連れて行ってもらう。
そんな行き方をすすめられるなんて思ってなくて最初はちょっとおどろいた。
だけど、この国では案外よく見る光景 。
わたしが今住んでいる町でもほんとによく見かける。
しかもバックパッカーだけでなく、なかにはどう見てもあなた出勤中でしょっていう人や、これから町に遊びに行くんだろうなぁっていう若者など、よくわかんないけどいろんな人がいる。笑
そういえば、今カフェで一緒に働いているフランス人の女の子も「たまにヒッチハイクで通勤してるよ~」って言ってたし
「帰宅中ヒッチハイクしてたら、勤務終わりの救急車(?)が家まで送ってくれた」っていう話も友達から聞いた。笑
どれも冗談みたいだけど
なんともNZらしい話。
それくらいヒッチハイクが気軽にできちゃうんです。
治安がいいのはもちろん、道は一本道だしバスもちょっと気まぐれ。
日本みたいに交通機関が発達してて、ありとあらゆるところへ道がつながっているわけでもない。もしかするとこのちょっとした不便さがお互いを思いやる気持ちを生み出してるのかもしれない。
そして旅行者や移民者だらけの多国籍なこの国には、社交的な人も多いから受け入れやすい文化なのかも。そういえば日本でも、旅人の多い沖縄にはヒッチハイクしてる人も結構いたし。
とまぁそんな訳で
わたしたちも車を買うまでは、よくヒッチハイクで移動していました。
(車で8時間かかる遠い町まで行った日。このあと過酷な旅が待っているとも知らず、朝一ののんきな写真。)
開始5分で車が止まってくれることもあれば、ときには田舎の小さな町で3・4時間待ち続けることもあったり。いつも目的地に辿りつくまでワクワクドキドキ。
(寒い中待ち続けるも車通らず。。バスがあるなら乗りたいけど、田舎すぎてバスや人どころか、まわりに羊しかいないという切なさ。笑)
何度か心折れそうになることもあったけど、そのぶん人の温かさにも触れて、なんだかんだでハマっちゃう。
たとえば行き先が違ったり、車に乗るスペースがなくても、車を止めて声をかけてくれる人はたくさんいるし
車の中からこっちを見て手を振ったり、ジェスチャーでエールを送ったりしてくれる人もいる。
単純にKIWI(ニュージーランドの人)の国民性なのか
自然いっぱいでピースフルなこの国の雰囲気がそうさせるのか
とにかく老若男女問わずみんなとってもフレンドリー。
(たまに見かける道路標識。ほかにも羊とか山羊とか牛とかあっておもしろい。)
話は変わるけど、今働いてるカフェでもワークメイトたちがいつも些細なことでも「大丈夫?」って気にかけてくれる。むしろ何もなくても聞かれることも。笑
忙しくてもみんなせかせかしてなくて、お互いのことを想って声をかけ合う環境がとても心地いい。
もちろん日本人の細やかな気配りや、さりげない心遣いも素晴らしいんだけど、かえって気を遣いすぎて人に頼りづらいことや無関心をよそおってしまうこともある。
だからとやかく考えず、気軽にまわりの人に声をかけたり、力を貸し合ったりできるKIWIの人柄ってすごくいいなって思う。
そういえば大学で「コミュニティー」の研究していた頃、尼崎のとある地域コミュニティーでも似たような感覚を受けたのを覚えている。
お互いに無関心ではなく、
ちょうどいいかんじのお節介がゆるやかな繋がりを生み出す。
そこでは自然なかたちであらゆる立場の人たちの関係性が成り立っていて、何かが起きてからじゃなく普段から、できることを、できるときに、できる人がやっていた。
ヒッチハイクもそんな風に、ゆるりとした人と人とのつながりが町の中で循環していっているような気がする。
だから、日本に帰ってもヒッチハイクをしてみようと思うとかそんな話ではもちろんなくって(やってみてもいいけど)
たとえこの先住む場所がどこであろうとも、
閉鎖的でも無機質でもない
コミュニティーの中で
多少おせっかいなくらいで
暮らしていきたいなと思います。